niyalistのブログ

東京大学 生産技術研究所でITと公共交通について研究している伊藤昌毅が、日々思うことや研究のことを書きます。

Uber雑感

SIGSPATIAL参加のためにサンフランシスコ出張。10月30日に到着して、11月4日に発つ5泊の間に、4回Uberを利用。やっぱりアプリの出来はとても良く出来てて、ITサービスとしての完成度の高さはさすが。このクオリティのシステムを作るにはそれなりのITエンジニアがそれなりの人数、期間をちゃんと思いを持って携わっていないと出来ないはずで、こういうのはシステムを外注してたり経営層にITへの理解がない事業者からは中々出てこない。ITエンジニアの転職が多くて、良いものとは何か、どう作るかという感覚や考え方が広く共有されてることも背景だと思う。なお、滞在中に大きなアップデートがあり操作方法が変わって戸惑った。ちゃんとスクリーンショットを撮っておけば良かった。

 

とにかく外国人にとって嬉しいのは、近所の雑貨屋にすら治安や歩道の整備不足とかで行きづらいアメリカで、Uberの登場で初めて移動の自由を得たこと。呼べばどこにでもすぐ来るし、タクシーと思えばそれほど高くない料金でどこにでも行ける。車を持っていない旅行者が感じる移動の絶望的な不自由さが、この数年で一気に解消した感覚がある。アメリカ人にとっても近い感覚はあるんだろうな。

 

こういう感覚は、公共交通機関が発達したヨーロッパの街ではほとんど感じなかったし、流しのタクシーがすぐ捕まる中国の都市でも感じなかった。日本に来た外国人は果たしてどう感じてるんだろうか。

 

1回、かなり近距離をお願いした時にアプリの操作で迎えに来る車が割り当てられたのに、その車が中々こっちにこなくて周りをウロウロしてた事があった。結局キャンセルしたんだけど、おそらく乗車拒否をされたような気がする。

 

ドライバーが、1人は移民、あとは多分アメリカ人、1人は耳が聞こえない方のようだった。ちゃんと稼げてるんだろうか、みたいな話は出来なかった。1人は、ゴールデンゲートブリッジに向かう途中で観光案内的なこともしてくれてありがたかった。

 

ドライバーを評価する仕組みは、生活がかかっているのが分かるのでこっちも緊張するね。日本の感覚だと中々満点って付けにくいけど、特に瑕疵がなかったら満点なんだよね。ということで今回も皆五つ星。あと、その人にあった評価軸の定型文からコメントを選べるようになってたのが面白かった。「観光ガイドがとても良かった」みたいな。

 

よく問題になる安全性に関しては、正直よくわからない。運転や地元の道に慣れてる人の運転という感じで、不安は感じなかった。これが仮に日本人同士で、自分もよく知ってる道だったらどう感じるんだろうか。女子学生には1人で乗るのはやめた方がいいと言ったけど、他の手段よりは実際のところ安全かもしれない。まあ、そもそもアメリカで夜1人で出歩くもんじゃない。

 

サンフランシスコにはUberAirbnbの本社があるので、余計にこの町の風土に合うのかもしれない。

 

個人的にもう一つ欲しいと思った交通に革新をもたらすアプリは、「モーゼ」というやつで、信号や歩道が十分整備されてないアメリカの街で、ボタンを押すと車が止まってくれて歩いて横断できるようになるアプリ。誰か作ってくれないかな。