乗換案内検索結果を比べてみた
8月10日(木)に群馬県庁に行く用事があったのですが、その際の乗り換え案内結果が各社で大きく違っていて驚いたので、詳しくまとめてみました。その日の朝にTwitterに投稿したところ、現在までで900近いRTやFavがあり、改めて、この手の話題への関心の高さを知りました。
群馬県庁に行く乗換経路探索、各社の結果が違いすぎて驚き。バスデータの有る無しだけじゃなくて、各社のアルゴリズムの違いがかなり出てる気がする。 pic.twitter.com/7MBnqJ8GYB
— Masaki Ito (@niyalist) 2017年8月9日
条件など
改めて各社の乗り換え案内で、8月10日(木)11:25に群馬県庁に到着という条件で検索しその結果を示しました。検索条件はなるべくデフォルトまたはお勧めとしています。ただしAppleは過去の日付を設定出来ないので、一週間後の8月17日で検索しています。
乗り換え案内アプリとして選んだのは、以下の5種類です。駅名やバス停名ではなく、施設名で検索したかったので、この機能を持たない「駅すぱあと」や「駅探」は比較対象に入れていません。並べた順番はあとで図化したときにやりやすかった順番で、それ以上の意味はありません。
Yahoo! 乗換案内
Yahoo!が提供しているアプリで、乗換案内のエンジンは駅すぱあとを開発しているVAL研究所が提供しています。おそらくYahoo!独自の拡張で、駅やバス停間だけでなく施設名を対象とした検索を実現しています。
Apple Maps
Apple自社製の地図アプリに乗り換え案内機能を備えており、日本では2016年10月より使えるようになりました。データはジョルダンからの提供ですが、アルゴリズムは独自と思われます。個人的には、バスの情報が充実していると感じています。
Navitime トータルナビ
Navitimeには「乗換NAVITIME」「バスNAVITIME」などのアプリもあるのですが、ここでは鉄道、バス、徒歩などを総合的に検索するため、「NAVITIME」アプリのトータルナビ機能を利用しました。
ジョルダン乗換案内
老舗の1つジョルダンは、「乗換案内」という名前でiPhone向けアプリを提供しています。鉄道だけでなくバス情報も充実しています。Tweetに載せた検索結果ですが、実は祝日である8月11日(金)の結果を載せており、検索結果が違っています。以下に載せたものが正しいです。
Google Maps
ご存じGoogle Maps付属の乗り換え案内機能です。時刻表データはジョルダンから提供を受けていますが、検索アルゴリズムは独自のものを使っていると思われます。
各社の検索結果
まずは各社の乗換検索結果を示します。
Yahoo!、Apple、Navitime
ジョルダン、Google
検索条件
Yahoo!の乗り換え時間の「少し急いで」が気になりますが、「普通」がなく次が「少しゆっくり」なので、この条件で検索します。
Yahoo!、Apple
Navitime、ジョルダン、Google
考察
図に示してみた
各社乗換案内が縦に長くて、比べてみても意外と把握しづらいので、1つの図にまとめてみました。力尽きて凡例とか書いてないですが大体で理解してください。
新幹線の利用
ジョルダンだけ、新幹線を使った検索結果が出ません。これは、検索設定の「有料特急を利用」を「おまかせ」から「なるべく利用」に変えても変わらないので、ジョルダンの検索の癖なのかもしれません。実際、群馬あたりだと湘南新宿ラインのグリーン車でも十分快適に移動出来るので迷うところではありますよね。ただ、選択肢に出して欲しいという気はします。
新幹線は大宮から乗るか東京から乗るか
小田急沿線住民には、東北上越北陸新幹線に大宮から乗るか東京から乗るかという選択肢があります。大宮から乗る場合は、新宿に出てから埼京線などで大宮へ行くコース、東京に向かうときは代々木上原から千代田線に入ります。各社判断が分かれるところですが、ここではGoogleだけが東京から、Yahoo!、Apple、Navitimeが大宮から新幹線に乗るように案内しています。運賃は東京から新幹線に乗った方が少し高いのですが、意外と時間的なアドバンテージが無く(これは大宮までの新幹線に厳しい速度規制があるからだと思います)、大宮経由の結果が出がちです。
ちなみに私のチョイスは、東京駅周り。それもGoogleとも違って、千代田線二重橋前駅から行幸通りの地下を通って徒歩で東京駅に行くコースです。大手町から歩くより近いし道も歩きやすいと思ってるんですが、どうでしょうか。大宮経由で東北新幹線に乗ったこともあるのですが、埼京線が遅れてドキドキしたり、何より、新幹線の座席に座る時間は長い方がいいと思っています。でも、この乗換を案内してくれる乗換案内サービス、ほとんど無いんですよね。
大宮までのAppleとNavitimeの違い
AppleもNavitimeも新宿経由で大宮発9:54の新幹線に乗る経路を案内しています。しかし読売ランド前の発車時刻がNavitimeの方が5分早い。この違いはどこから来るのでしょう。比べてみるとAppleの方が小刻みに乗り換える経路を案内していることが分かります。また、新宿での小田急から埼京線への乗り換え時間が5分と、朝の混雑状況だとぎりぎりの時間です。知らない駅で乗り換えるときは、ホームを探したり階段の上下で案外時間がかかりますね。座れた人にとっては、そのまま乗り続けた方がいいでしょう。AppleよりNavitimeの方が、より乗り換えを避けるべきだと考えているのではないでしょうか。また、新宿駅の正確な乗り換え時間をAppleが持っていない可能性もあります。ただ、Navitimeには万が一乗り遅れたときにもまだリカバー出来るということも教えて欲しいですね。
高崎からのバス経路
Yahoo!だけが10:50に高崎駅を出る群馬中央バスを案内し、ほかはJRで前橋方面に案内しています。このバス、本数は少ないですがタイミングさえ合っていれば高崎から最短で県庁まで行ける交通手段のようです。これを見つけてくれたYahoo!は立派です。条件を変えて検索したのですが、Google、Apple、Navitimeにはそもそもこのバスのデータが入っていないようです。ジョルダンにはデータは入っているのですが、総合での検索結果はJRで前橋駅へ行く経路でした。
高崎駅のバス停の実際
実際には高崎駅の現地での案内が不十分で、バス乗り場を見つけるのがとても大変だった点も指摘しておきます。高崎駅には東口と西口それぞれにバス停があるのですが(案内をよく見ると東口は市内循環バスだけと読み取れますが、実際はそうでもないようです)、乗換案内の結果を見る限りどちらのバス乗り場からら乗れるのか、全く分かりません。バス利用者向けの案内は、鉄道での案内と比べて乗り場や乗り方などのより詳細レベルの案内が本来は必要になります。この要求に十分に応えられているアプリは、まだ存在しないと言っていいかもしれません。
写真に、改札を出たところの景色と東口・西口の案内の接写、西口をでたところにあるバス乗り場の案内を示します。改札を出て分かるのは、東口と西口の両方にバス停があるということだけで、どちらから前橋行きのバスが出ているか分かりません。西口に出てしまえば、写真のような乗り場案内があるので目指すバス乗り場は見つけやすいのですが、私は東口に出てしまい大きく時間をロスしました。
前橋か新前橋か
高崎から電車で前橋に向かうことにした4社のうち、Googleだけが吾妻線で新前橋駅下車、Apple、Navitime、ジョルダンは両毛線で前橋駅に行っています。前橋駅の方がより県庁に近いので、ここはGoogleの選択が謎です。わざわざ高崎駅で遅くまで待って、前橋駅には行かない吾妻線に乗って、新前橋駅から30分も歩く経路をどうして出すのでしょうか。じつは第3候補には他社と同じ前橋駅経由が出てくるのですが、優先順位の付け方が謎です。
県庁まで徒歩かバスか
前橋駅や新前橋駅から県庁へは、Appleだけがバスを選び3社が徒歩経路を案内しています。この区間、バスも走っているのですがGoogleにはバスのデータが入っていないようです。Navitimeとジョルダンは、バスデータはあるのですが敢えて徒歩を選んだようです。バスの本数は限られているので、純粋に到着時刻で比較すれば歩いた方が早いかもしれません。しかし、指定の11:25にはまだ余裕のある状況で、夏の炎天下に20分から30分も歩かせる選択はちょっと納得出来ません。
ちなみにこの区間のバス情報は県庁のホームページが詳しく、この区間を走る6社のデータを全てまとめた時刻表を掲載しています。駅の乗り場も6番乗り場まであるのですが、どこで乗っていいか分かります。乗換案内各社がこの区間のデータをどれだけ網羅しているか分かりませんが、少なくともNavitimeには群馬中央バスは載っていないようです。また、前橋駅をおりたところにも写真のような案内があり、これを見れば直近のバスの時刻と乗り場が分かります。ただし遅れには対応していないらしく、遅くなった場合もこの案内では出発したことになるそうです。
150mを1分未満?
Appleの乗換検索結果の最後、県庁前のバス停から県庁へ150mを1分未満で歩けってどういうことなんでしょうね。不動産広告的には1分あたり80m、しかも信号も渡るので、これは無理ですよね。
そのほかのAppleの制約
Apple(iOS)の乗り換え案内だけ、過去の日付を指定出来ない、また、時刻の設定が5分単位でしか出来ないという制約があります。そもそも、時刻の表記が小さくて見づらく、あまり時刻を重視していないように見えますが、これは日本で利用する際にはちょっと使いづらいと思います。また、11:25着で検索しているのに、第2候補には1:38着の経路が出るという、不思議な挙動もありました。全体的に操作方法が独特ですし、他のアプリを使ってから戻ると、検索をやり直す必要があるなどまだ使い勝手が十分こなれていない印象があります。
まとめ
各社の乗換検索の比較、いかがでしたでしょうか。各社アルゴリズムの違いがありますし、バスデータに関しては、サービスによってカバーしている路線が異なるので、どのサービスがいいとは一概に言い切れないと言うのが個人的な感想です。その中でも、今回の検索区間は各社の結果が大きくばらける区間だったと思います。普段、どれかひとつの乗換案内を当たり前のように使っている方が多いかと思いますが、改めて他と比較してみてはいかがでしょうか。
現在、乗換案内サービスはこれまで以上にバスデータを網羅するよう各社が努力していますし、以前は駅から駅の検索だったところが、任意の地点から地点への検索が可能になってきています。乗換案内のアルゴリズムにおいても、バスや徒歩まで考慮したより多くの選択肢の中から「最適」な案内を出すことが求められるようになってきました。私自身も、最寄りではない駅までバスで行った方が結果的に早く着くという経路を案内され助かったことがありますが、経路の質の向上という意味でも、各社のサービス向上に注目したいところです。